改葬とは、墓地に埋葬されている遺骨を、他のお墓(納骨堂)に移すことです。改葬には行政手続きと遺骨の移行の手続きがあります。当事務所では、改葬に関わる様々な手続きをサポートします。
超高齢社会となり日本では年間140万人もの人が亡くなる時代となっていて、多死社会とも言われています。2025年には団塊の世代が75歳以上となり、2040年まで死亡者は増え続けていく見込です。
一方、葬送や供養に対する考え方も多様化し、改葬や墓じまいする人が増えています。厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和2年度(2020年度)の改葬の件数は、全国で合計117,772件。20年前の平成12年度(2000年度)は、66,643件なので、約20年で倍近くまで増加しています。
改葬とは、お墓や納骨堂等に埋葬されている遺骨を、他のお墓や納骨堂に移転することです。墓じまいは、改葬とともに墓石を撤去して、墓地の管理者にその敷地を返すことをいいます。
先祖代々のお墓が故郷にあるが、自分が今住んでいる地域とは遠く離れたところにあるため、自分が埋葬されても、子や孫たちが墓参りに来てもらうのは難しいい。子どもがおらず自分の亡くなった後にお墓を管理する人がいないという事情で改葬、墓じまいをして、今住んでいる近くにお墓を建てる、納骨堂、樹木葬、散骨、永代供養などの埋葬方法を選択される方が増えているということです。
最近では、墓の承継者が誰なのか分からないなんてケースも有ります。
民法では、系譜、祭具及び墳墓といった祭祀財産や遺骨を管理し、祖先の祭祀を主宰すべき人のこと「祭祀承継者」と言います
系譜、祭具又は墳墓のような祭祀財産は、相続財産にはふくまれず、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するものとされています。誰が祖先の祭祀を主宰すべき者かは、まず被相続人の指定によって、被相続人の指定がないときは、慣習に従って定める。被相続人の指定がなく、また慣習も明らかでない場合には、家庭裁判所が定めるとしています。
祭祀承継者は、慣習として長男や長女が継ぐもとされてきた部分もありますが、法律上はそうした決まりはありません。通常は、相続人のうちの誰かがなることが多いでしょう。
※民法
(祭祀に関する権利の承継)
第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に
従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主
宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める
改葬を行う場合には、「墓地、埋葬等に関する法律」に基づき、現在埋葬しているお墓や納骨堂がある市町村長の許可が必要となります。そして、遺骨の新たな移転先を決めておかなければなりません。墓じまいや改葬は、祭祀承継者の承諾無く勝手にできません。生前に祭祀承継者や親族と話し合っておく必要があります。
※墓地、埋葬等に関する法律
第5条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
※墓地、埋葬等に関する法律施行規則
第2条 法第五条第一項の規定により、市町村長の改葬の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、同条第二項に規定する市町村長に提出しなければならない。
一 死亡者の本籍、住所、氏名及び性別(死産の場合は、父母の本籍、住所及び氏名)
二 死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)
三 埋葬又は火葬の場所
四 埋葬又は火葬の年月日
五 改葬の理由
六 改葬の場所
七 申請者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者又は焼骨収蔵委託者(以下「墓地使用者等」という。)との関係
2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面(これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面)
二 墓地使用者等以外の者にあつては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本
三 その他市町村長が特に必要と認める書類
改葬の手続きの流れは、下記のようになります。
① 新しい墓地の管理者から墓地使用許可証・永代使用許可証を発行してもらう。
② 現墓地のある市区町村役場で改葬許可申請書を入手する。ホームページからダウンロードできます。
③ 現墓地の管理者に改葬許可申請書に署名押印を貰い埋葬証明を受ける。
④ 現在お墓のある市区町村役場に上記書類を提出。改葬許可証を取得する。
⑤ 現墓地の管理者に改葬許可証を提示し、遺骨を取り出す。
⑥ 新しい墓地、永代供養墓の管理者に改葬許可証を提出し納骨する。
お墓をお寺が管理している場合は(寺院)の証明が必要ですので、事情を説明し、理解を得るようにしてください。また、お墓に埋葬されている方がたくさんいる場合は、埋葬されている方の生年月日や死亡時の本籍地を調べる必要があります。
改葬手続きはご自身でもできますが、仕事が忙しかったりご高齢の方ですと少々面倒かもしれません。また、誰の遺骨が分からない場合は時間がかかります。これらの業務を行政書士に依頼することができます。